お題「どうしても言いたい!」
新型コロナの影響で、マスクが品切れになってからもう1ヶ月以上は経っており、未だ在庫の確保が難しい今日この頃。
転売騒動があり、マスク買い占めによる価格暴騰…メルカリを始めとするフリマ系では軒並みマスク販売の禁止に踏み切るといった異例の事態に発展。
そんな中、一線を記すかのようにハンドメイドサイトで有名なcreema(クリーマ)はハンドメイドのマスク販売続行を決定。マスク欠品への需要を行うと発表…。徹底した販売者への管理を義務付けることで、それが実現。
確かに、新品転売がなくなった今、マスクを必要としている人達は後を絶たないので、creema(クリーマ)の存在は貴重であり、必要と思われる。
マスクをハンドメイドして販売することで、社会貢献しているということに、大きな意義がある。とても良いことだ。
しかし、そのマスク販売においての価格設定がなかなか難しい。
今までの使い捨てマスクは、100円ショップでも30枚入りなどで買えていたものだから、その感覚が一般的なのかもしれない。
だが、ハンドメイドマスクは、1枚あたり1,000円以上して当たり前なのだ。
マスクの形状にもよるが、子どもの給食マスクのような簡易なものを除き、いわゆる3D立体マスク、プリーツマスクは製作の工程が細かく、手作業においては製作時間がかなりかかる。1枚につき1時間弱くらい。
※布の水通しから始まり、アイロンかけ、裁断、しつけ、ミシン、検品、梱包までの作業を一人で行う場合。
東京都の最低労働賃金の1,000円/hは最低もらうべきである。
そこに材料費、
(材料費は1枚あたり、100円〜300円程度。)
※今はマスクの材料も入手が困難で、物によっては代替えが必要で価格高騰。
そして、販売手数料が10%とられる。
送料込みにするのなら、追跡機能付きで一番安いクリックポストでも198円。
梱包材や、商品を包む袋の代金が50〜150円程度。
つまり、マスク1枚につき最低でも1,600円の販売価格を設定しないと、時給1,000円の賃金は得られないのだ。
にもかかわらず、主婦と思われる善良な方々はボランティアなのかと思うような、
いわゆるマスク製作にかかる材料費と送料、梱包材のみと思われるような金額の500円とか600円の価格で販売をされている。
これでは、いくら毎日何時間も労働したところで、利益は0円。労働という名のボランティア活動になってしまう。
それで本当に良いのだろうか?
ある作家のプロフィールコメントを読んで、本当にびっくりした。
「ただいま、受注が殺到しており毎日子供を寝かしつけてから朝方までマスク製作作業をしておりますが追いつきません。
1日に作れるマスクは10枚が限度です。
よって、お問い合わせ等に連絡が遅れることがありますが、ご了承下さい…」
のような旨を表記していたのだ。
一見、すごく仕事熱心で、子育てにも仕事にも頑張っている主婦という印象だが…
そのマスクの販売枚数を見ると、数百枚に及んでおり、単純計算でも1ヶ月近く毎日そのような状態の生活をしていると思われた。
そして、やはりマスクの販売価格が数百円程度…、かなりの割安価格だった。
注文が殺到するわけである。
単純にマスクの価格を上げればいいだけの話なのに、なぜそうしないのだろう?
マスクの価格を少し上げれば、注文数は減るかもしれないが、単価が上がるので結果的に売上利益は同じ。
それより受注枚数が減ることで作業時間を減らし、睡眠時間を確保できるではないか⁈
子育て中のママがなぜそんなに毎晩徹夜をしなければならないのか?
素朴に疑問である。
稼ぎ時だから…というのかもしれないけれど、
子どもの成長や自分の健康の方がよっぽど大事である。
このプライスレスな価値になぜ気が付かないのか?ただでさえ、子育てはストレスフル。今は新型コロナの影響でお子さんもいつもよりナーバスになっており、子どもと過ごす時間の方がよっぽど大事ではないか?心のケアが必要な時期なのに…。
でも、この主婦は本当は真面目で子育て熱心なのだと思う。だから、子どもが寝てから毎晩作業に没頭しているのだ。
こんなにまでして、子育て中の家庭に負担を強いる、日本って一体何なんだろう?
うちもそうだが、きっと旦那さんのお給料だけでは、金銭的な余裕がないのだ。だから、子育てに犠牲を払ってまで共働きをしなければならないし、自分の睡眠時間を削ってまで頑張らなきゃならないのだ。
こんなんじゃ、毎日イライラして子供に当たってしまっても仕方がない。
でも、今はすぐ虐待だの毒親だの、モンスターペアレントだのと言われ、ちょっとでも子どもの泣き叫ぶ声が響けば、ご近所さんに通報されかねないというプレッシャーが重くのしかかる。
他の国でもそうなのか?
例えば北欧の子育ては、もっとずっと幸せそうだと思う。
昨日もフィンランドの🇫🇮国の特集をしていたけれど、子どもが生まれると国から1年間育児用品が無料で贈られてくるとのこと。
出産してからの1年間は睡眠もほとんど取れず体力的にも精神的にも子どもを連れての買い物は大変なので、必要な手当てだと思う。
育児用品は消耗が本当に激しい。
オムツは1日に7〜10枚はかえるので、1ヶ月300枚、お尻拭きもその回数分必要だし、手口ふきタオルも食事の回数分使う。ミルク缶は1ヶ月に2缶、ミルク瓶消毒液は30日分、入浴剤やお肌ケアのクリームなど…
また、消耗品以外では、赤ちゃんの産着、スタイ、チャイルドシート、ベビーカー、抱っこひも、絵本、おもちゃ、バスタオル、ベビーバス、バウンサーなどあげたらきりがない。
出産準備用品だけで最低10万円はかかる。
予防接種ワクチンだって、全て無料ではない。
年々公的補助も増えつつあるが、私が出産した頃は、B型肝炎やヒブ、小児肺炎球菌、おたふく風邪、水ぼうそう、ロタウィルス、インフルエンザなどはまだ自費だったので、それだけでもさらに10万円以上かかったのだ。
インフルエンザについては、毎年かかる。
それらがもし全て無料だとしたら…?
それ以外にも、育児は女性一人に押し付けられるものではなく、社会全体で子どもを育てていけるような手厚い社会保障があり、保育園から大学までの学費が無料だったり、図書館の数が多いことなど教育の面でも優れた人材を育成出来るような社会の仕組みが出来ている。
サラリーマンでも、ほとんどが4時に退社。
家に帰って家族で一緒に夕飯を食べるのが、ふつうなのだ。人間らしい生活がおくれる素敵な国だった。
日本にいて、一番ツライと思うのは、家族みんなで一緒に夕飯を食べられないこと。
それが、たまにじゃなくて毎日。そしてこれから先もずっと。当たり前のように続く。
子どもたちと過ごせる時間はもう残り短いのに…。家族がコミュニケーションを持つ時間すらない国。
私はフランスに留学してホームステイしていたことがあり、フランス人家庭で過ごした時間がとても幸せだった。
別に、日本の自分の家族が悪いとかそんなことじゃない。
フランスでは、旦那さんも一緒に料理をするし、夕飯に限らずお昼ご飯でさえも、家族一緒に食べるのだ。学校や会社から一度家に戻ってくるのだ。
不思議だったけれど、フランスではそれがふつうなのだから、驚いていたのは私だけ。
日本にいるだけでは、気がつかないことがたくさんある。日本の常識は、なんだかとても私には合わない。人間がロボットみたいに心を失っているように思える。
しばらく忘れていたこの気持ちが、
このマスクの一件で、
ムクムクと沸き起こってきたのだった。
日本がもっと人間らしい生活ができる国に変わってほしい。
子どもにたっぷりと時間と手間をかけて、愛情いっぱいに育てたい。
マスクを黙々と作られているこの主婦も、心の中ではきっとそう思っているに違いないと思う。家族の為に、子どもの為に、自分の身を粉にして働いているのだ。
それを思うと、この国が本当に無慈悲に思えて仕方がない。